海外留学には多額の費用がかかるので、資金不足を理由に留学を断念する人も少なくありません。そんな人におすすめなのが、費用負担を大幅に軽減できる奨学給付金の利用です。
そこで今回は、社会人の留学で利用できる給付奨学金について紹介します。給付奨学金を利用する際の注意点も説明するので、参考にしてください。
目次
奨学金は2種類ある
社会人留学で利用できる奨学金は、「貸与」と「給付型」があります。それぞれの特徴をしっかり理解して、自分に適したものを選ぶことが大切です。
①返済義務がある「貸与」
返済義務が生じる奨学金が、貸与型です。いわゆる借金している状態で、日本に帰国したあとに返済しなければいけません。ただ給付型に比べると条件が緩いため、認定を受けやすいメリットがあります。また、民間の金融機関からお金を借りるより低金利でお金を借りられるのも特徴です。
②返済義務がない「給付型」
返済義務が生じない奨学金が、給付型です。給付型奨学金を利用できれば、帰国後に返済に追われることはありません。ただし、誰でも給付型奨学金を受けられるわけではありません。また、なかには年齢制限が設けられている給付型奨学金もあるため、計画的に準備を進めることが大切です。
奨学金と教育ローンの違いは?
教育ローンとは、教育や留学を目的に借りられるお金で返済が義務付けられています。お金を借りられる点は奨学金と同じですが、教育ローンは扶養者が返済しなければいけません。
奨学金の場合、貸与型は借りた本人に返済義務があり、給付型は返済義務がないのが特徴です。また教育ローンは奨学金のように応募条件や審査が厳しくなく、幅広い人が利用できる特徴があります。
社会人が利用できる給付奨学金5選
社会人が利用できる給付型奨学金は限られていますが、それぞれ応募条件が異なるので事前に確認しておくことが大切です。社会人が利用できる給付奨学金には、次のようなものが挙げられます。
①日本学生支援機構
②フルブライト奨学金
③英国外務省チーヴニング奨学金
④エラスムス・プラス
⑤伊藤国際教育交流財団
それぞれの特徴を確認していきましょう。
①日本学生支援機構
日本学生支援機構は、海外の大学や大学院への進学を目指す方に奨学金の支援をおこなう法人です。社会人が利用できる給付型奨学金には、「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」があります。
募集事項は毎年9月頃に公開され、翌日10月中旬頃に応募が終了します。応募要件は毎年同じとは限りませんが、前年の募集要項を参考に必要書類や応募要件の確認をしておくことがおすすめです。
【2021年年度】
採用人数 | 108名 |
英語力 | TOEFL iBT 100、IELTS 7.0 |
成績 | GPA 3.00(最高値4.00) |
支給額 | 89,000~148,000円 |
年齢制限 | 修士は35歳未満 博士は40歳未満 |
>>日本学生支援機構
②フルブライト奨学金
フルブライト奨学金は、米国政府が留学生向けに策定した政府奨学金で、世界の著名人も利用しています。日本人を対象にした奨学金は、次のとおりです。
それぞれ採用人数や給付額が異なり、併用して応募はできません。
【大学院留学プログラム(2020年度)】
採用人数 | 20名 |
支給期間 | 1〜2年 |
英語力 | TOEFL(iBT)80点 あるいはIELTS6.0以上 |
対象者 | 年齢制限なし |
③英国外務省チーヴニング奨学金
英国外務省チーヴニング奨学金は、イギリス政府・関係機関等が直接募集する政府奨学金です。大学院修士課程に留学する留学生を対象にしています。
募集人数は公開されていませんが、競争率はかなり高めで人気の高い奨学金です。イギリスでは知名度の高い奨学金なので、英国留学を検討する人は英国外務省チーヴニング奨学金を検討しましょう。
現時点において、英国外務省チーヴニング奨学金では年齢制限は設けられていません。ただし、基本的には学士以上の資格を持っている人が対象です。支給期間は1年間で学費や生活費、渡航費、ビザ申請費用などすべてサポートしてもらえます。
④エラスムス・プラス
欧州連合が提供する教育・訓練・青少年・スポーツ のためのプログラムです。大学生、博士号候補者、大学職員、教育機関に幅広い教育の機会を提供しています。対象者は、4年制大学卒業生です。
奨学金は、授業料や渡航、転入費用、生活費、保険料を含み、年に最大2万5,000万ユーロが支給されます。募集人数はコースによって異なるため、公式サイトを随時確認しましょう。
⑤伊藤国際教育交流財団
伊藤国際教育交流財団は、日本から海外の大学院へ進学する人を対象に奨学金を提供しています。採用人数は10名程度で狭き門ですが、今後は支援する留学生を増やす可能性があります。
【2021年度】
採用人数 | 10名程度 |
年齢制限 | 原則29歳以下、30歳以上で応募する方は 「今、留学を希望する理由」の提出 |
英語力 | なし |
支給期間 | 2年以内 |
支給額 | 月1500~2000ドル相当の円 |
社会人が給付奨学金を利用する際の注意点
留学に十分な費用を用意できない場合は、給付型奨学金を利用するのがおすすめです。ただし社会人が給付奨学金を利用する場合は、いくつか押さえておくべき注意点があります。
①厳しい条件が設けられている
②返還請求をされる場合がある
③すべての留学費用を賄えない
④通年で申し込める制度はほぼない
⑤課題の提出が必要な場合がある
それぞれの注意点を確認していきましょう。
①厳しい条件が設けられている
給付奨学金は貸与型給付金に比べると厳しい条件が設定されており、申請を出す場合はすべて満たさなければいけません。多くの募集要項で設けられている条件には、次のようなものがあります。
- 最終学歴:4年生大学卒業
- 英語力:指定の英語力を満たしている
また年齢制限がある給付奨学金も多いので、早めに計画を立てることが大切です。
②返還請求をされる場合がある
給付奨学金を利用すれば、お金の心配をすることなく英語学習に励めます。しかし学習意欲や態度によっては、奨学金を打ち切られたり返還請求されたりする場合があるので注意しなければいけません。
海外生活は刺激も多いので、ついつい観光や遊びに時間を費やしてしまいがちです。学校に出席して真面目に勉強していれば問題はないため、給付型奨学金を受ける場合は学習態度に気を配りましょう。
③すべての留学費用を賄えない
給付奨学金の支給額は制限があるので、海外生活のすべてを賄えるわけではありません。特に、社会人留学の場合は人脈を広げるために会食をする機会も多くなります。また、勉強の息抜きに近隣の国に旅行をすることもあるはずです。
こういった費用は給付奨学金では賄えないので、自分で資金を確保する必要があります。有意義な留学をするためにも計画的に貯金しておきましょう。
④通年で申し込める制度はほぼない
社会人留学生に向けた給付奨学金は、通年で申し込める制度はほぼありません。例年応募があるからといって必ずしも毎年応募があるとは限らないので、常に公式サイトを確認しておくことが大切です。
また、社会情勢によっては応募要項や年齢制限が変更になる場合もあります。応募期間も限られているため、できる限り早く準備を進めるようにしましょう。
⑤課題の提出が必要な場合がある
給付奨学金の中には、書類選考も兼ねて課題の提出が義務付けられている場合があります。課題制作には時間がかかるので、例年の募集要項を参考にして課題の準備に取り掛かりましょう。
また給付奨学金の中には、留学前ではなく帰国後にレポートを義務付けているものもあります。団体によって課題内容も異なるので、事前に確認しておくのがいいかもしれません。
お金がない社会人におすすめの留学先
アメリカやイギリス、カナダなどの主要国は留学先として人気がありますが、物価が高いので留学費用が高くなりがちです。お金がない社会人はなるべく費用を抑えて留学したい人も多いですよね。
英語力の向上で語学学校に通いたいなら、留学先としておすすめの国は次のとおりです。
①マルタ
②フィジー
③フィリピン
アメリカやイギリス、カナダなどの主要国が良いなら、現地で働けるワーホリ制度を検討するのもいいでしょう。また時間に制限はありますが、学生ビザでも働けるので収入を得ながら英語を学べます。
社会人留学の費用目安やお金がない社会人が留学する方法を知りたい方は、こちらもご確認ください。
>>参考:お金がない社会人でも留学できる?おすすめの国や節約方法【留学費用目安もご紹介】
社会人留学でも給付奨学金を利用できる!
授業料や生活費、渡航費など留学は多額の費用がかかるので、お金がない社会人の場合は留学を断念せざるを得ないことも多いでしょう。また、長期留学になると一度会社を退職しなければいけません。
収入を得られなくなるので、そのリスクを負って留学に踏み切れない人も多いでしょう。しかし、お金で留学を断念するのは勿体無いです。社会人でも返済不要の給付奨学金に応募できるため、資金不足に悩む人は積極的に活用するのがおすすめです。
また、留学を有意義なものにするために日本で英語力を高めておきたい人もいるでしょう。安く英語を勉強できるオンライン英会話がおすすめです。無料体験レッスンを提供しているオンライン英会話も多いので、自分に適したサービスを選びましょう!